九州電力管内での出力制御(出力抑制)対象となる太陽光発電所を拡大へ - 旧ルールの500kW未満にも適用
4月26日に開催された第21回系統ワーキンググループで、昨今の九州電力管内における出力制御(出力抑制)について、九州電力による実施報告やOCCTOからの検証結果報告が行われる中、資源エネルギー庁から提出された資料に「出力制御対象の拡大」が盛り込まれていました。
下記が、委員会資料からの抜粋です。
「出力制御対象外」とは何か?
FIT制度の中で、太陽光発電所の出力制御には「旧ルール」と「新ルール」と「指定ルール」の3つのパターンが存在しています。
- 旧ルール:年間30日まで無補償の出力制御対象
- 新ルール:年間360時間まで無補償の出力制御対象
- 指定ルール:年間360時間を超えても無制限に無補償の出力制御対象
これらはいわゆる「九電ショック」を契機に整備されてきたルールですが、各電力会社管内でルールの扱いが異なります。九州電力は、旧ルールから一足飛びに指定ルールに移行したため、管内に新ルールの発電所は抱えていません。
更に、この「旧ルール」の太陽光発電所のうち、500kW未満の設備については以下のように「出力制御対象外」とされてきました。
しかし、昨今の出力制御回数の増加に伴い、この「対象外」だった設備を対象に含めようというのが今回資料に記載されている内容です。その判断の理由を抜粋すると、下記のように書かれています。
将来的に現状の出力制御対象だけでは必要な制御量や調整力を確保できなくなり、系統運用に支障を来すおそれがある。こうしたことを踏まえ、出力制御の対象を拡大を検討する必要があるのではないか。
指定ルールの対象事業者は500kW未満の設備も出力制御対象となっているので、「発電事業者間の公平性」を確保することも念頭にあるのでしょう。
実は「当面は対象外」だっただけ
上記の九州電力のWebサイトだけを見ると、旧ルールの500kW未満の設備は特に条件無く出力制御の対象外であるように見えます。実際、太陽光発電所を販売する業者の中では、出力制御対象外であることを売りにして販売されていた事例も見受けられます。
しかし、資源エネルギー庁の資料や過去の委員会の議論では、「当面は出力制御の対象外」と整理されており、条件付きの扱いだったことが分かります。
こうなると、発電事業者によっては事業の収支計画で出力制御を見込んでいないことも考えられ、実際に出力制御対象となって制御が始まると、予想外の収支減少に見舞われることになる可能性もあります。
また、今回は九州電力管内の出力制御に関する議論ですが、おそらくこれで旧ルールの対象外案件が対象に含められれば、他の地域でも同様の扱いが始まることになるでしょう。
「出力制御の対象外」は条件付きのルールであり、今後出力制御が始まる地域でも、同様のルール変更が行われる可能性に注意する必要がありそうです。
なお、この件については日経xTECHなどでも記事になっていますので、併せて読んでみてください。