ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

日韓営農型太陽光発電技術交流会に日本代表として出席 - ソーラーシェアリングの国際展開に向けて

ソーラーシェアリングの国際的な注目の高まりについて、都度このブログでも紹介してきましたが、いま韓国で営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)への取り組みが急ピッチで進み始めています。

昨年12月の台湾に続き、今度は韓国でソーラーシェアリングの国際会合に登壇してきました。韓国政府の力のいれ具合がすごかったです。

日韓営農型太陽光発電技術交流会が開催

3月7日、韓国大田広域市の韓国電力公社電力研究院において、日韓営農型太陽光発電技術交流会(主催:韓国電力公社電力研究院・農業技術院・グリーンエネルギー研究院)が開催され、日本代表団として参加してきました。

日本からは、ソーラーシェアリング推進連盟並びに千葉エコ・エネルギーとして招聘いただき、合計9名の訪問団での参加です。

f:id:chibaecoenergy:20190310225721j:plain

日韓営農型太陽光発電技術交流会

韓国側は、電力・農業ほか各分野から100人近くの参加者があり、特に日本からの報告については開場前から高い関心が寄せられていたそうです。

日本側はこれまでの実績と今後の取り組みについて発表

今回は、両国の営農型太陽光発電・ソーラーシェアリングに関する技術的な側面での発表がメインでした。

日本からは、私が全般的な導入状況や千葉エコ・エネルギーとして行っている大木戸の事例について報告したほか、市民エネルギーちばの椿さんから匝瑳市飯塚地区の取り組み、スマイルあわじの長尾さんから淡路島での取り組み、Looopから宮崎大学との共同研究などの結果、そして弊社の中村からソーラーシェアリング推進連盟の活動などが発表されました。

f:id:chibaecoenergy:20190311005916j:plain

スマイルあわじの長尾さんによるプレゼン

会場からの質問も活発で、日本では民間側から普及が進んでおり政策側の支援や目標設定が遅れている理由、設計や農業に関する考え方、農業者による理解を得る方法などについて質問がありました。

韓国側は実証試験の成果や政策導入目標について発表

韓国側からは、2016年から始まっている実証試験の成果や、農業技術院による作物生育の分析、モジュールメーカーによる営農型太陽光発電に適したモジュール開発、韓国電力公社による国内での太陽光発電導入計画と営農型太陽光発電の開発ポテンシャルの見通しなどが発表されました。

f:id:chibaecoenergy:20190311005949j:plain

韓国電力公社(KEPCO)による導入ポテンシャルのプレゼン

実証試験は低圧規模(韓国では100kWまで)で行われており、作物の収穫量や品質についても農業技術院による詳細な分析がなされているほか、準備が始まった2015年頃は国内でも全く相手にされなかった経緯なども報告されました。

また、モジュール開発では私が以前から必要と主張していた内容が、韓国側ではほぼ取り入れられているほか、遮光率は基本的に33%程度までを原則とし、スリムタイプを前提とした技術・製品開発が進んでいることが分かりました。

台湾での国際フォーラムと比較すると、今回は韓国政府関係機関による主催で、営農型太陽光発電に特化したフォーラムとなっており、より専門的な報告が行われた点が特徴的です。

国際化するソーラーシェアリング

内容が非常に濃かったので追々レポートをまとめていきますが、国を挙げて営農型太陽光発電を進めようとしている韓国の取り組みを見ると、数年後には韓国が先進地と言われているのではと感じさせる技術交流会でした。

一方で、技術面での実証が進んでも農業者がそれを受け入れていくか、また地方政府による促進への協力が得られるかといった点は、日本と同様の課題を抱えています。

既に、政府目標にソーラーシェアリングの導入促進が盛り込まれている韓国では、今年以降実証から普及に向けた動きを本格化させるということで、引き続き密接な政策・情報交流を進めていくことになりそうです。