ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

新たな水田ソーラーシェアリングが運転開始 - 愛知県豊田市で初のソーラーシェアリング

日々、全国各地でソーラーシェアリングを行っている中、今回愛知県豊田市で初となるソーラーシェアリングの事業化を支援させていただきました!

豊田市に本社を置く太啓建設株式会社が、自社で耕作している水田へのソーラーシェアリング導入です。

詳細はスマートジャパンの記事にまとめられていますので、下記をご覧ください。

www.itmedia.co.jp

米作りを支えるソーラーシェアリング

各地で事業化が進むソーラーシェアリングですが、やはり日本国内の農地の過半数を占める水田への導入に関する相談は、日々増えています。

水稲の生産性向上や裏作による農業所得の向上が図られていますが、米作りだけでは続けていけないと離農していく人も後を絶たず、地域の水田を一手に引き受けていた農家が引退すると一気に耕作放棄が進むなど、米作りを支える状況は厳しさを増しています。

これまで、千葉エコとしては秋田県の井川町の事例を筆頭に、複数の水田でのソーラーシェアリング事業をサポートしてきましたが、今回のように建設会社が農業参入して行う地域農業へのソーラーシェアリング導入支援は初の事例です。

今後、地域の新たな農業の担い手を増やしていく中で、今回の事例が先例となるのではないかと考えています。

系統連系:再生可能エネルギーの系統連系枠が40GW拡大へ - 「N-1電制」の本格運用で

経産省再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で議論が重ねられてきた「日本版コネクト&マネージ」ですが、「想定潮流の合理化」による系統空容量確保が各地の電力会社から発表される中、それに続いて「N-1電制」の効果と実施スケジュールが明らかになってきました。

tech.nikkeibp.co.jp

発電所の「身代わり」によって緊急事態に対処

このN-1電制を実施するに当たって、系統事故時に大規模な発電所を「身代わり」に停止させることで中小規模の発電所の停止を回避し、事後にその中小規模の発電所オーナーから機会損失費用を精算するというモデルを実装することになっています、

こういった「身代わり」モデルは、九州電力管内の出力制御(出力抑制)でも同じ案が検討されていて、高圧や低圧の多数の発電所を停止させるよりも、確実に制御できる特高規模の発電所を停止させ事後に抑制の損失分を徴収・補填するという形です。

本格運用は2022年度から

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の第11回会合に提出した資料で、特にこの費用精算をどのように行うかという点に課題が多いとしており、それでも2022年度には必要なルールの見直しや精算システムを完成させ、「N-1電制」の運用をスタートさせたいとしています。

再生可能エネルギーの大量導入に向けて、系統連系・系統運用の改善が最大のハードルになっている今、少しでも早く導入容量の拡大に向けた施策が実施されることを期待します。

FIT10円時代のソーラーシェアリングを考える - スマートジャパンの新年初記事が公開

年末に書き上げた、2019年のソーラーシェアリング業界の年始を飾る記事を、スマートジャパンの連載記事として寄稿しました。

テーマは、昨年1年間に本当に多くの人に聞かれた、「FITが下がっていったらソーラーシェアリングはどうなるの?」という疑問に応える内容です。

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FITか自家消費か

農業政策の一環として推進され、昨年は環境省によるハード補助も新設されたソーラーシェアリングですが、依然としてFITを前提とした全量売電による事業が大半を占めています。

これは、FITの利用が「農業者の所得向上に資する」という視点から最も取り組みやすいということもありますし、まだまだファイナンスもハードルが下がったとはいえ容易とも言えない現状では、FITを活用していくことがソーラーシェアリングの普及に資する道だと思います。

自家消費については、千葉エコでもいくつかモデル事業に取り組んでいますが、農業のエネルギー転換とセットで進める必要があるため、まだすぐに経済性を備えた取り組みにはなっていかないと感じています。

FITに縛られない長期的な視点をもつ

電気に限らずエネルギー事業は全て長期的な視点で展開される事業ですが、FITの「病」として「20年間で終わるもの」という固定観念太陽光発電業界を中心に蔓延しています。

ソーラーシェアリングは、農業という1,000年単位で営まれてきた超長期の事業と共存する発電事業ですから、それに取り組むことがFITの「病」から抜け出すチャンスなのかも知れません。

年始に新たな取り組みを考える際に、インプットの一つとして今回の記事を是非ご一読ください。

新年のご挨拶 - 今年も新たなチャレンジを

新年あけましておめでとうございます

千葉エコ・エネルギーを創業してはや七年、生まれた子供が小学校に上がるほどの月日が経ちました。

一年を顧みるために、昨年の出来事を象徴する写真を並べてみましたが、これでもごく一部というくらいに多くの出来事があった一年でした。

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台湾大学で開催された、国際フォーラムでの講演

大学講師から起業家へと、FIT制度の開始と共に歩みだし、太陽光発電・小水力発電・陸上風力発電・洋上風力発電地熱発電・温泉熱発電・木質バイオマス・畜産バイオマスと幅広い自然エネルギーの事業化に携わってきましたが、その実績を評価いただき今は日本全国で多様なプロジェクトに関わらせていただいています。

その中でも、ソーラーシェアリング・営農型太陽光発電の分野では、お陰様で自社での圃場と発電設備を持つに至り、昨年は株式会社マイファームのサポートを得て本格的な農業参入を果たしました。 

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人生初のトラクター運転

一つ一つ、地域での取り組みを重ねていくことを大切にするとともに、自然エネルギーを社会に根付かせ、インフラとしての地位を確立していくために業界団体の設立にも積極的に関わってきたことが、特に昨年の大きなトピックだったように思います。

ソーラーシェアリングの普及拡大を図る一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟、そして太陽光発電事業の適正化と主力電源化を目指す一般社団法人太陽光発電事業者連盟(ASPEn)と、2つの団体でそれぞれ代表理事・専務理事に就任させていただいています。

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太陽光発電事業者連盟(ASPEn)設立記念シンポジウムにて

自然エネルギーが世界的に主力電源としての立場を確立していく流れが生まれつつある中で、我が国においてもその流れに取り残されることなく、先駆的な取り組みと活気あふれる市場の創出を図り、そして何よりも将来世代に向けた現役世代の責任を果たすために、未来への歩みを進めていきましょう。

 

今年も年始から、様々な新プロジェクトが動き始めますので、どうぞご期待ください。

 

2019年正月

馬上 丈司 

 

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千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機にて

 

講演・メディア:朝日新聞に意見広告が掲載されました - パタゴニアと共に出稿協力

12月27日の朝日新聞朝刊(大阪版のみ26日)に、先日の東京新聞に続き石炭火力発電所の新設計画に関する意見広告が掲載されました。

今回も、パタゴニアと千葉エコ・エネルギーによる協力、という形になっています。

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掲載された広告

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パタゴニアと共に出稿協力

石炭火力発電は、1990年代の電力自由化(発電事業への参入規制緩和)を皮切りに、安価な電源として選好され急速に新設が進んできました。

そして今、福島第一原子力発電所の事故を経て更なる電力自由化に進む日本国内において、更なる石炭火力発電所の新設計画が進んでいます。

気候変動対応への世界的な動きが広がる中で、ここ数年、石炭火力発電所の計画に対する環境アセスメントのプロセスにおいて、環境大臣が否定的な意見を付すということが繰り返されてきました

今後の我が国におけるエネルギーミックスにおいて、石炭火力発電をどの程度導入していくのか、その計画はパリ協定を始めとする国際合意に沿ったものなのかなど、政策面そして社会的な合意形成が不十分だと感じています。

まずは、石炭火力発電所の新設計画がこれだけあるということを広く知っていただき、再エネや原子力だけではないエネルギー供給構造に全般に関する、社会的な議論を喚起したいと思い今回の出稿に協力しました。