統計を読む:日本の全就業者に占める「雇用者」の割合が過去最大に
ここ最近は、講演に際して様々な社会統計をベースにお話しすること(統計不正問題もありましたが)を意識しているのですが、1つ気になる統計データを見つけました。
総務省が実施している「労働力調査」の中にありました。
日本の「雇用者」の割合が過去最高になっている
この労働力調査は、就業者数や完全失業者数、完全失業率などの重要な景気指標となるデータですが、その中に就業状態をまとめたものがあります。これは、就業しているか失業しているか、就業形態(自営業・家族従業・雇用者)はどうなっているかをまとめているのですが、2019年1~3月期のデータから「雇用者」の割合を算出してみると
- 就業者数 :6,648万人
- 自営業主 :519万人(7.8%)
- 家族従業者:136万人(2.0%)
- 雇用者 :5,945万人(89.4%)
- 失業者 :186万人(参考)
何と、就業している人の89.4%が「雇用者」となり、この雇用者/就業者比率は年度別平均で見ていくと過去最高になります。すなわち、今は「日本の歴史上で最も雇用労働者の割合が多い時代」なのです。
働いている人の10人に9人が誰かに雇われていることになり、翻って自ら事業を営んでいる人は10人に1人しかおらず、これは過去最少です。
正規・非正規の話
更に内訳も掘り下げられる統計ですが、メディアで話題になる正規・非正規の割合、パート・アルバイトの数字を見ると以下のようになります。
- 非正規労働者比率:38.4%(過去最高水準)
- パート労働者数:1,048万人
- アルバイト労働者数:464万人
- 派遣社員数:142万人
- 契約社員数:303万人
ということで、「非正規雇用が増加している!」という結論も得られなくはないのですが、細かく見ていくと若年層の非正規雇用者数は減少しており、65才以上の非正規雇用が増えたことが原因の一端を担っています。
- 25才~34才の非正規雇用者数:過去6年間で50万人減少
- 65才以上の非正規雇用者数:過去6年間で200万人増加
このような数字が得られるため、雇用者全体での非正規雇用比率の増加だけ取り上げてしますと、「高齢者の定年後の雇用が急増している」という実態が浮かび上がってきます。
若年層の人口減少、高齢者の人口増加も要素として見込めると思いますので、その辺りはまた別の機会に分析してみようと思います。